あんの感想置き場

鉄は熱いうちに打て

VOICARION『スプーンの盾』感想①

VOICARIONに出会えて良かった。

ツボに入って結局3回観に行きました。本当はもっと観に行きたかったけど、全て遠征なので仕方がない。2023年の怒涛の現場納めとして最高でした。「2018年に住みたい」と言い続けてきましたが「2023年に住みたい」に更新します。生きてて良かった。

VOICARIONが好きすぎたので、まずはこの世に音楽朗読劇というジャンルがあることを教えてくださった津田さんに心の底から感謝したいということから書きます。ありがとう津田さん。津田さんがこのお仕事を選んでくださったおかげで自分の好きなエンタメジャンルが見つかりました…それと、以前VOICARIONで津田さんと共演してくれたさーやちゃんにも感謝したいです。本当にありがとうございます。VOICARIONを知ったきっかけは以前にもブログに書いたんですが「津田さんと神田沙也加ちゃんが共演している」ということを知ったからです。『女王がいた客室』という演目で二人が共演していていることを知り、丁度そのタイミングで別演目の『GHOST CLUB』に鈴村さんと津田さんが出演していることを知り、この2作が気になってCDを買い、あっという間にVOICARIONに惚れました。VOICARIONは「物語を読み聞かせる」という枠を超えて、藤沢文翁さんが書いた物語を、マイクの前で役者さんが演じ、演奏家が奥行きを作り、照明さんや衣裳さんが情景を作り、アフレコとストレートプレイとミュージカルの間のような世界観を作るんです。題材は歴史物が多くて、小説に魔法がかかったようなシリーズ。公演が始まったら絶対に観に行く!と決めていたので、念願叶って初めてVOICARIONシリーズの『スプーンの盾』を観劇することができました。

前置きが長くなりましたが感想をまとめます。

 

シアタークリエ プレミア音楽朗読劇 VOICARION XVII ~スプーンの盾~

フランス革命のあと、二人の無名の男が帝王となった。一人は言わずと知れた皇帝ナポレオン・ボナパルト。そして、もう一人は料理の帝王と呼ばれるアントナン・カレーム。この時代、王侯貴族たちを料理で、餐(もてな)し説得する、いわゆる料理外交が頻繁に行われていた。この物語は料理の力で、血の一滴も流すことなくフランスを守った人々の世界一美味しい戦争の物語。

公式サイトのあらすじから引用。舞台はフランス革命後のパリ。登場するのは料理人のカレーム、カレームの一番弟子であり神の舌を持つ盲目のマリー、軍人のナポレオン、外交官のタレーランの4人。

実在の人物の話ではあるけど、あくまで創作!今回も文翁氏の二次創作に磨きがかかっていましたね……

無名の若き料理人カレームは、幼い頃に両親からパリの路上に捨てられると安酒場の主人に拾われて料理人の道を進みます。食べ物を十分に食べられない日を過ごした経験のある彼は、ただひたすらに人々が美味しいものを食べて笑顔になる姿が見たくて、一心不乱に料理に夢中になっていました。

ある日、カレームが勤めていたお店の料理人がクビになってしまい、カレームが料理を振る舞うことに。そこに来店したのが、外交官のタレーランとエジプト帰りのナポレオン。ナポレオンは食に全く興味がない(腹を満たせればそれでいい)のに対し、食通のタレーランはカレームの作ったヒラメ料理を食べて、この料理を作ったのは誰だ!?とときめきます。すぐにカレームはタレーランに呼び出され、マリーと共にタレーランの所有するヴァランセ城に招かれ、ナポレオンとタレーランがこれから行う外交のため、各国のトップが集まる晩餐会で料理を提供してほしいと頼まれます。政治に利用されるのは好きじゃないという不安もありつつ、どんな人でも料理で笑顔にさせたいという願いを持つカレームはタレーランの申し出を受け入れます。

前提としてこの時代のヨーロッパはまだ貴族が強い時代。フランスが市民革命を起こして貴族に下剋上したので、各国の貴族がフランスに怯えていたそうです。度々各国との戦争が起こっていて、そのフランスの軍を指揮していた一人がナポレオン。

実際に戦地へ赴くナポレオンと頭脳で戦うタレーランと共に、ナイフを剣・スプーンを盾にして始まったカレームの料理外交ですが、案の定カレームの料理は政治に巻き込まれ、あんなに呼吸を合わせて並走していたナポレオンとタレーランの歯車は徐々に狂っていき、フランスは敗戦。ウィーン会議でフランスはまな板の上に乗せられ、各国がフランスのどこをどう切り取るかという話し合いになります。ナポレオンは島に幽閉され、タレーランも引退かという時に、タレーランを奮い立たせたのはカレームでした。

かなり端折ったんですが、4人の想いが相互に絡み合って情緒が大変なことになる〜!しかも同じ台詞なのに役者が変わるだけでこうも物語の印象が変わるものかと驚きました。ざっくりとしかあらすじを書いていないので、こう見るとシリアスなんですが、この不安定な時代のフランスの一角で4人が心を通わせてカレームの料理に胸を熱くして救われて、カレームも3人の「美味しい」に救われて、涙が出るシーンがたくさんありました。文翁氏が「この物語は『美味しいものを食べると幸せになる』という皆様全てに贈りたい作品」と言っていた通り、温かくて優しくて「いただきます」と言いたくなる作品でした。冬の時期にロングラン公演をして大正解だと思います。再演の度にリピートしたい……

このまま3日分のキャストレポも書こうと思ったんですが、めちゃくちゃ長くなったので一旦区切ります!次は心置きなくキャストレポが書けると思う!!!!!!!!!!!!!!