あんの感想置き場

鉄は熱いうちに打て

『ボイス』感想前編 こんなところに沼があるなんて聞いてない

「ちゃんとした長文が書きたい…」という超ざっくりとした願望が出てきたので、今日からここに色んな感想を置いていこうと思います。

でも正直言うと私は感想や自分の気持ちを書くのが苦手です。学生の頃の読書感想文もあらすじを説明して筆が止まるみたいなどうしようもない生徒(なのに文系)だったし、今も作品を見ながらテンションが上がったままの脳みそでTwitterに浮かんだことをとりあえず実況・羅列するような人間です。いつまで続くか分からないけど、折角色んな作品を見る機会があるんだから書かないよりはマシだよなと思って重い腰を上げました。ジャンルは特に決めていません。自分がかなりの気分屋なので、ドラマ・映画・小説・アニメ・漫画・舞台・歌…「これは長文で書けそうだな」という作品を置いていくつもりです。

で、肝心の1作品目を何にするかですが、最近見ている韓国ドラマ『ボイス(보이스)』(邦タイトル:ボイス〜112の奇跡〜)にします。

元々『客-the guest-』が好きで(これもいつか感想が書きたい)、その流れで同じ俳優が出ているのを知って見始めました。昨日で全16話中8話まで見たので折り返しです。キリがいい。

舞台は犯罪現場のゴールデンタイムを守る112通報センター。日本の110番通報を受ける通信指令室のような所です。そこのセンター長で聴力が人並み外れて優れているカン・グォンジュと妻を殺人事件で亡くした刑事ム・ジニョクが先頭に立って事件を解決していきます。被害者からの悲痛な通報を受けてから3分到着5分現場確認10分検挙という緊張感満載のドラマで、正直見ていて休む暇がありません。ジャンルがスリラーなだけある……穏やかなシーンの数秒後に殺人鬼が迫ってくるような「マジ勘弁してくれよ」と言いたくなるドラマです。一つの事件を解決するのに大体2話分使われていて次から次へと問題が発生するので、やめ時が分からなくなりました。どんどん見てしまう…そして面白い…

センター長のカン・グォンジュは警察官の娘であり、普通の人間では聴き取れない小さくて些細な音も聴こえる112通報センターのスペシャリスト。電話の向こうにある理容室のサインポールのパチパチという電気の音まで聴き取ります。それ故に彼女にしか見つけられない真実があり、ム・ジニョクの妻の事件に関わったことで『ボイス』という物語は大きく動きます。

推しはム・ジニョクです。子持ちのおじさんで妻を殺人事件で亡くし、一度ドン底を経験しているので絶対に死なないオーラが出まくっています。1人で犯罪者100人を仕留める勢いのあるヤバ刑事。陰では犯罪者に「イカれた犬」と言われることもあり(ひどくない?)、とにかくすぐ吠えます。血の気が多いおじさんなんですが、ある事件をきっかけに冷静沈着なセンター長と組んで真実に迫っていくようになります。二人が組み始めて気づいたんですが、案外センター長も感情で動きやすいのでジニョクが感情を抑えて冷静に判断するシーンが増えてきました。キレる5秒前みたいな目をしながら吠えないジニョクが最高…特に3話で犯人を自白させる為に自分で渾身の芝居を打つジニョクが好きすぎて感情が爆発しました。「お前、俺の推し」と思った瞬間です。軽率に推しを増やしてしまいました。こんなところに沼があるなんて聞いてないよ。(8話で連れ去られて吊るされるシーンはどこ見ればいいか分からなかった……)

主要人物たちが魅力的な分サクサクと見ていきたいところですが、一つ一つの事件が重いので毎回しんどいです。殺人現場の演出が妙にリアルで、創作するタイプの殺人鬼がいるせいで精神がごっそりと削られました。人を殺めて芸術作品にして警察を挑発する非常にタチの悪い胸糞な狂人、最悪中の最悪です。

余談ですが、虐待されて通報した少年が客ザゲストのファピョン(子供時代)にそっくりだな…と思ったら同一人物、見たことある嫌な性格の係長だな…と思ったら客ザゲストの警察署の班長、このおばあちゃん見たことある!と思ったら客ザゲストの霊媒師でした。さらに後半から、客ザゲストで魅力的な神父をやっていたキム・ジェウクが活躍します。彼がその最悪中の最悪な殺人鬼なんですが、8話の時点で狂っていたので正直続きを見るのが怖いです。ジェウクには殺人凶器じゃなくて動物のぬいぐるみを抱いていてほしいのに……こんなにも簡単に惨いことができる人間に比べたら、自分が入るための器(人)を何年もかけて丁寧に育てた悪霊の方がよっぽど可愛いんじゃないかと思い始めました。

しばらくはム・ジニョクとカン・グォンジュと二人に協力してくれる仲間たちの幸せを見守っていたいです。ム・ジニョクの息子くんに何も起きませんように〜…