あんの感想置き場

鉄は熱いうちに打て

音楽朗読劇『YOUNG WIZARDS』感想 

6月に新大久保の皆中稲荷神社を参拝してからチケ運が確かに上がっている気がしている今日この頃。教えてくださったフォロワーさん本当にありがとう。

今回の感想は、音楽朗読劇READING HIGHの『YOUNG WIZERDS〜Story from 蘆屋道満大内鑑〜』

観劇までの経緯

まず作品感想の前に観劇することになった経緯を書きます。めっちゃ長い。

READING HIGHのことは津田さんの出演情報を追いかけている時に知りました。え!津田健次郎朴璐美が10月に出る朗読劇!?めっちゃ気になる!!と即行チケを調べたら会場が横浜でまあまあ遠い。しかもこの時の自分はAD-LIVEに食らいついていて飽和状態だったので、今回は配信でいいか〜とお試し感覚で配信チケだけを購入。それから数週間が経って、どういう経緯で見つけたのかは覚えていませんが(多分YouTubeのおすすめで流れてきた)、神田沙也加ちゃんと津田さんの朗読劇の音源CDがあることを知ったんですよ。推しと!?推しが!?共演していたの!?とまずそこで嬉しくなってCDを手にいれ、この世に音楽朗読劇が2種類はあることに気づく。

「READING HIGH」と「VOICARION」

うん、どういうこと?何が違うん?と。

朗読劇の脚本はどちらも藤沢文翁。READING HIGHはソニーミュージックで、VOICARIONは東宝のクリエらしい。あと大きな違いは公式グッズに台本があるかどうか。READING HIGHはなんと公式グッズに役者と同じ台本がある。

え、凄くない?????

台本を買うと公式にお金が入るんよ????

すげえ。

そしてVOICARIONのCDを買ったのと同時期にREADING HIGHの過去作『ALCHEMIST RENATUS~Homunculus~』の放送があったので、ここで初めて音楽朗読劇を見ました。これの感想は省くけど、め〜〜〜〜〜〜〜〜ちゃくちゃ面白かった!すぐに台本を買って台本を見ながら録画した本編も見直して、これはまた知らない扉が開く予感がし、より一層新作が楽しみになったところで、機材配置決定によりチケの追加申込が開始。やっぱりこんな機会は滅多にないと思ったら、申し込みたくなるんですよね。

第6希望まで申し込んだら第6希望で当たってました。第6希望が通ることあるん?受け皿が濾紙やん。

ということで、横浜へ行くことができました!

 

本編感想

見たことのないトンデモ照明機材(魔法陣みたいな機材から放射線状に光が出る)、振動を直で伝えてくる巨大スピーカー、声優による生演技、バンドの生演奏、高音炸裂のモンスター級ボーカル、あちこちで起こるバディポイントを一度に浴びて

「凄い…………………………」

しか言えなくなりました。

そりゃ舞台は生ものだからさ、生で観たらどんなコンテンツでも「凄い………」にはなるんですよ。自分は今までジャニーズのド派手な照明を使ったコンサートも劇団四季東宝ミュージカルも観たことあるし、音圧を受けて座席と身体が丸ごと振動する経験もしたし、その度に「凄い………」と思ってきたんですが、今作に関しては直感で「飲み込まれる」と思いました。

そもそもREADING HIGHは3.5次元エンタメを目指しているようで、朗読劇でありながら世界観には命を賭けているくらい、照明と音響にはこだわりが強いコンテンツ。3.5次元が厳密にどういう次元かは理解しきれていないんですが、3Dが4Dになったくらいのイメージでいい気がします。炎が噴き、水が流れ、放射線状の照明がぐるぐると回転し、火の玉のような照明がドローンの如く浮遊し、硝子が割れる勢いで凄いソプラノの歌唱と、声のプロによる極上の朗読かつ役がそこに生きているような芝居を一度に受けることになるんです。圧倒されて口を開けたまま、声だけで紡がれる物語に集中していたら、完全にREADING HIGHのペースに巻き込まれていました。圧巻や感無量と言うには相応しい、朗読劇のイメージをひっくり返すようなイケイケ朗読劇。

 

で、物語について。

素直に言うと、

ブンオウの二次創作やん!!!!!!!!!!

藤沢脚本の良いところは題材が錬金術師であったり陰陽師であったり、ファンタジーと歴史物を上手く掛け合わせたオリジナル物語であることなんですが、今回も期待の上を行く面白さでした。

 

安倍晴明蘆屋道満

正直、私は安倍晴明蘆屋道満についてはそんなに知らないです。地上波のドラマを齧ったりwikiで予習した程度なので、あくまで文翁オリジナルという前提で感想を書きます。

安倍晴明蘆屋道満がまさかの熟年相棒という解釈。道満が晴明の兄貴的存在として晴明を色々と気にかけてくれます。道満は悪役として描かれやすいと思うんですが、中村さんが演じる道満は善のかたまり。晴明に対してここまで情のある道満はめっちゃレアだと思う。

人間は怨みを心に芽生えさせると鬼が生まれ、その鬼となった心を九尾狐が食べることができるという藤沢オリジナル設定により、晴明の母がラスボスである九尾狐の一部となっていたことが判明した時、唯一狐を倒せる能力がある晴明はその九尾狐を何としてでも倒さなければならない状況になります。でも、大切な母を奪われた憎しみを持って戦うと晴明自身も九尾狐の餌食になる危険がある。さらにこの物語の大詰めで、道満も心の鬼を利用されており、九尾狐に取り込まれる寸前。もうね、心優しきピヨピヨのマモ晴明は精神が限界を迎えてます!その時、残り僅かの精神をギリギリ冷静に保てている道満の…九尾狐と晴明に言い放つ台詞が…

「食いなよ、俺をさあ!鬼でいっぱいの俺の心をさあ!晴明!俺ごと、退治しちまえ!この狐が相手だと思うから鬼が生まれるのさ!お前が大好きな大好きな蘆屋道満様と思えよーー!!ほら、鬼は生まれねえだろ!?」「泣くなよ、晴明」「狐よ〜こんなに晴明を追い込みやがって、俺はなあ!安倍晴明をいじめる奴を許してはおけないんでねぇ!この鬼、食い甲斐があるぜー!?」

 

は??????????????????

道満………………………………????

 

 

は??????????????????

もう笑いが止まりませんわ。中村悠一道満が最高すぎる。晴明のこと大好きじゃん。お互いに大好きじゃん。

マモ晴明と一緒に「どうまぁぁぁあんん!?(涙)」と内心叫んでしまった。

いいもんみた。ありがとう。

 

源頼光坂田金時

こっちは鬼退治をする正統な主従関係。このペアはほこほこハートフル枠なのに死別してしまうんですよね〜〜〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜

坂田金時頼光四天王と呼ばれる家臣の一人で四天王で唯一生き残っている人物。それが彼にとって死にきれなかったというコンプレックスにもなっているんですが、金時を幼少期からから知っている頼光様は金時に…

「金太郎、死ぬでない。死んではならん。鬼の血に染まりし月夜に響く、その笑い声に幾度救われたことか。お主が傍におらねばわしもとっくの昔に鬼となっていたであろう」

って言うんですよね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

たまんね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

諏訪部頼光様〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここから何があっても頼光殿の傍では笑顔でいようとする金時が本当に尊いし、死に際にまで笑おうとする金時と金時の最期を見送る頼光様がしんどくてしんどくて…

一生一緒にいてくれや、何で死別せなあかんねん…(ありがとうございました)

 

葛の葉狐(かか様)と童子丸(晴明)

尊い。これに尽きる。狐がお寺に捨てられていた赤ん坊の童子丸を見つけて育てるんですが、その赤ん坊が後の安倍晴明日本昔ばなし王道の親子愛だと思う。璐美姉さんのでっっっかい母性と鬼頭さんの可愛い少年ボイスにキュンときた…………

妖艶な朴璐美たまらん…すげえ…プロ…本物の朴璐美だぁ…ってなった。

この二人が会話をするシーンは回想シーンになるので、エピソードの一つ一つが温かくて、かか様と童子丸の中にしかない思い出はふわふわの綿に包みたくなる。

童子丸が針を咥えているのを見つけたかか様が「危ない!」と叱った後で、子供が母親の縫い方の真似をしていたことに気づき、かか様がめちゃくちゃ反省したりするんだけど、そういう慣れない子育てを頑張っているかか様の傍で真っ直ぐに育つ童子丸がたまらん!!!!!!!!

ラストシーンでは大人になった晴明が傷だらけの葛の葉狐を背負う(当然朗読劇だから物理的には背負わない)んだけど、本当に背負っているように見えて、人間の想像力ってすげえ…と感動した。

 

藤原道長

書く前からニヤニヤしてしまうから末期。

こんな道長爆誕させることができる津田健次郎は凄い。オールラウンダー役者怖い。

この錚々たるメンバー(宮野真守中村悠一諏訪部順一浪川大輔朴璐美鬼頭明里)を見れば津田健次郎は脇を固める重鎮(トメ)だと思うじゃないですか。しかもあの藤原道長ですよ?個人的なイメージだと根っからの権力者で強情な感じ?声帯が津田健次郎ともなれば、物凄い渋オジか組織のボスみたいな男か、変化球だとしても平安時代の公卿に振り切ったクセ強キャラだと思うんですよ。

でも蓋を開けたら、天然ポンコツ末っ子気質な小心者で常に濡れた子犬のような表情でタジタジしており、望月の和歌を思いつける引き出しなんて更々ないキャラだった。ゆえに藤原一門では「姫殿〜」と揶揄われていたらしく「狐の子」として揶揄われていた晴明と気が合うようになる。

道長は帝から都の鬼を一掃しろという勅命を受けて、晴明と道満のもとを訪ねて仲間にするんですが、どうやら道長には多少の霊感みたいなものがあるらしく(本人はそんなに気づいてない、晴明に言われて気づく天然ちゃん)、陰陽師にしか見えない結界が見えたり鬼の声が聞こえたりする。

無自覚かよ、可愛い……………

天然ちゃんでありながら、歴史に残る人物ではあるので「持ってる人」なんですよね。ふわふわしているけれど最後には確固たる夢まで語ってくれて……

「のぉ…頼光。ワシは時々、童が如く無邪気な夢を見とうなる時がある。幾千年かかってもよい。人の心の鬼を力に変え、人が生み出す鬼を倒す時代を終わらせられるのではないかと……心に悲しみを宿し鬼と向き合う………左様な新しき陰陽道の世にならんかのぉ…」

道長ちゃん………………………………尊い

この一連のシーンの間の取り方が上手くて息を吐きたくなくなる。九尾狐との戦いの末に生まれた静寂の中で津田健次郎だけがこれをゆっくりと話す…

2幕中盤で狐憑きを炙り出すために晴明から「私が用意したこの一首(この世をば〜)、皆の前でお詠みください」と頼まれた時には

「無理無理無理無理絶対無理ぃぃ!!無理じゃてぇ〜〜〜〜(泣)流石のワシもこれは無理じゃてぇ〜〜(泣)こんなもん詠んだらみんなに恨まれるに決まっておる(泣)」

と駄々をこねていた道長ちゃんが、最後にはこんなに大きな平和な世の夢を見てくれて…嬉しいよ…

暗闇の中で台本の文字を追いながら姿勢よく椅子に座り、自分の台詞の前でスッ…と立ち上がり、ピンスポが当たって喋り始めると、そこにいるのは藤原道長なんですよね…(他の役者さんももちろんそう)長い台詞の時にはページの端を折り曲げてすぐに捲れるようにしたり、ちょいちょいページに書き込みがあったり、朗読劇に挑む推しの全てが尊かった。

カテコ

千穐楽のカテコではスタオベが鳴り止まず、予定にはなかったWカテコをしてくれて、マイクなしで挨拶してくれるマモと一列でお辞儀するみんな…ありがとう…ありがとう。

津田さんがマモのMCでフッと笑顔になる瞬間がめっっっっちゃくちゃ可愛くて刺さったし、手をグーパーして色んな方向にお手振りをするのも可愛かったし、袖に入る前に客席に向かって再度一礼するのがカッコよくて痺れた。Wカテコで浪川さんが一瞬行方不明になっていて退場した場所と逆方向から照れながら走ってきたのもめちゃくちゃ可愛くて笑った。

 

あと影アナがとにかく上手い。誰なん?影アナも名前出した方がいいよ?ディズニーランドの閉園アナウンスを想像してもらえば一番近いと思う。観劇上の注意事項を落ち着いた声で丁寧な日本語を喋ってくれて、5周年記念公演だからでもあると思うけど、5年間とここ数年の困難を振り返りつつファンに感謝する挨拶を影アナが全っっっ部してくれた…凄い。

 

こんな数週間前に公演の存在を知ったようなにわかファンが、こんなにも丁寧な感謝のアナウンスを受けてしまっていいんですか!?と思ってしまうんですけど、劇場の前から5列目で観劇ができて本当に満足だし幸せだった。過去作『Chèvre Note~Story From Janne dArc~』の円盤も買ったのでそのうち見ようと思います!